第235話

マーロウは、危うくそのままエレベーターの奥へ押し戻されるところだった。もう一人でも突っ込んできたら、壁にぺしゃんこに押しつけられていただろう。

私はわざと大きく咳払いをした。

「あなたたち、書類かばんを見た途端、落としたクロワッサンにたかるゴキブリみたいに這い寄ってくるのね。エドゥアールの具合がどうか、誰か一人でも聞いた? それともゼロの数を数えに来ただけ?」

最前列が、ばつの悪そうにじりじりと後ろへ下がった。ベージュのトレンチコートの男が瞬きをし、靴先に目を落とす。

「もちろん心配してますよ。家族なんですから」

集中治療室のドアが、カチリと音を立てて開いた。

扉口にアシュトンが立...

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